BBANALY プロ野球データ分析

NPBのデータから、野球に関する議論や迷信を検証していくブログです。

コツコツ打線VS.一発攻勢打線

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コツコツ打線 VS. 一発攻勢打線

コツコツつないでいく打線と、一発攻勢をかけていく打線ではどちらの方が強いのか?という検証を今日は行っていきます。

 コツコツ打線、一発攻勢打線の定義ですが、前者は「安打が全てシングルヒット」の打線です。一方後者は、「安打が全て本塁打」の打線です。前者と後者の安打が出る比率はLWTSによって調整されているので18人の打者の得点創出能力は平等です。

感覚的には「ある1つのチームが、『シングルヒットだけを狙って戦ったとき』と、『ホームランだけを狙って戦ったとき』とでは、どちらの方が強いのか」という風に捉えてもらえればと思います。なお、フォアボールの数と、三振 : 凡打は同じになるようにしています(もちろん後者の方が打率は低くなるので、三振と凡打の数は後者の方が多くなります)。

両チームの成績は次のようになります。

  打率 出塁率 長打率
コツコツ .313 .379 .313
一発 .128 .212 .512

 

「いやいや、OPSで差がついとるやんけ」と思う方がいるかもしれませんが、OPSは長打力を過大評価する計算式になっているので、気にしなくて大丈夫です。

それではシミュレータを回していきます。

 

結果

以下のような結果になりました。

  平均得点 標準偏差 変動係数
コツコツ 4.28 3.19 0.745327
一発 4.77 2.71 0.568134

シミュレータ10万試合分の結果

コツコツつないでいく = 打線が機能している 印象があると思いますが、得点を取るという立場から見ると、つなぐより一発打った方が得点をとれるという結果になりました。また、得点の散らばり具合を表す変動係数( = 標準偏差 ÷ 平均得点)ですが、意外にも一発打線の方が小さくなっていることが分かります。一発攻勢打線の方が、とれる得点が安定しているということです。

なぜこうなったかですが、おそらくコツコツ打線の方は残塁が多かったのではないでしょうか。ホームランが出れば得点が確定する一発打線に対して、コツコツ打線はヒットが出てもホームまで返せないという状況が多くあったと思われます。運に左右されやすいということです。

 

次に、この両チームを対決させます。

10万試合の結果(引き分けなし)、コツコツ打線の42405勝57595敗、勝率.424となりました。

 

まとめ

意外にも一発攻勢打線の方が強いという結果になりました。

選手1人単位で見れば同じ得点創出能力なのに、打線にすると差が出るのは少々不思議な気がしますが、これも野球の面白さなのかもしれません。