「柳田打線VS安達打線」で柳田打線は全勝できるか
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試合結果は能力差を反映できるか
※このブログでは、打線Aと、打線Aより成績の劣る打線Bを用意し、試合を行って打線Aが勝つことを「試合が能力差を反映できた」と呼ぶことにします。
戦術等の影響を完全に無視した場合に、勝敗を決定する要素は選手の能力(得点を増やすようなイベントを起こす確率)と運です(少なくともシミュレータ上では)。ですが、野球という競技の性質上、試合数が少ないほど、試合結果が能力差を反映する確率下がっていきます。
前回は「柳田打線VS上林打線」で柳田打線は全勝できるか で、柳田選手と上林選手の能力差で検証しましたが、1試合の場合、約84%の確率で柳田選手が勝ちました。
今回はもっと能力差を大きくして、柳田選手と、オリックス : 安達選手の成績を使用して、シミュレートしていきます。
具体的な調べ方
1、能力差のある打線を用意する
今回はソフトバンクの柳田選手とオリックスの安達選手の2018年シーズン成績を使って、柳田打線vs安達打線で検証を行うことにします(走力は一定です)。
1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc.こちらのページの、wRC+という指標に注目します。wRC+は一打席当たりの得点貢献を指数化している指標です。柳田選手が207、安達選手が47であるため、十分な能力差があります。
二人の2018年シーズンの成績です。
試合 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
柳田 | 130 | 0.352 | 0.661 | 0.431 |
安達 | 140 | 0.219 | 0.277 | 0.261 |
(npb.jpより)
前回は能力差を示すパラメータがwRC+でしたが、シミュレータの平均得点で、ある程度能力差が分かるので、今回は別のチームでもいいかな、となりました。
この2人について100000試合を行ったところ、平均得点はそれぞれ10.11と2.04であることが分かりました。平均得点が10.11点 vs. 2.04点である打線の対決ととることもできます。
2、試合数の設定
試合数は、1, 3, 7として、それぞれ10万セット行います。
3、使用するシミュレータ
自作したシミュレータを使用します。現実と違う点は主に以下の通りです。詳しい内容は野球シミュレータの開発に書いてます。
- エラーによる出塁は実装できたものの、エラーの頻度を変更することはできない(守備力が一定)
- 走力が一定
- 塁上のランナーが打撃結果以外で進塁したり、アウトになったりすることがない(盗塁や牽制死、ワイルドピッチ等がない)
- バントがない
- 凡打の中の比率は変更できない(ゴロを打ちやすい選手、フライを上げやすい選手などの区別はできない)
- 点差を考えて戦略が変わることはない
なお、はじめの10万試合以降は、はじめの10万試合で得られた得点分布から得点を出しています(速度向上のため)
検証
1、1試合
検証の結果、柳田打線の93909勝3666敗2425分(9回で試合終了)となり、柳田打線の勝率は.962となりました。したがって、「1試合」は柳田選手と安達選手の能力差を約96%の確率で説明できるということが分かりました。逆に言うと、平均得点に8点ほど差があっても、約4%の確率で勝つことができるということになります。
2、3試合
クライマックスファーストステージを想定して、3試合中2試合勝った方を勝ちとします。検証の結果、柳田打線の99562勝6947敗(引き分け再試合)となり、柳田打線の勝率は.996となりました。「3試合」は柳田選手と安達選手の能力差を約99.6%の確率で説明できるということが分かりました。
3、7試合
日本シリーズを想定して、7試合中4試合勝った方を勝ちとします。検証の結果、柳田打線の99994勝6敗(引き分けは再試合)となり、柳田打線の勝率は.99994となりました。「7試合」は柳田選手と安達選手の能力差を約99.994%の確率で説明できるということが分かりました。
まとめ
柳田選手と安達選手ほどの実力差(平均得点にして約8点程度)があると、1試合ではその能力差を説明する能力が96%ほどあるということが分かりました。