BBANALY プロ野球データ分析

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セーブシチュエーションでクローザーを登板させる戦術は妥当か

クローザーの起用法

プロ野球の各チームには試合を締めくくる救援投手、「クローザー」(守護神) が存在します。一般的にクローザーは、チーム内の救援陣の中でも最も優れた選手が務めるケースが多く、リード時、とりわけ、セーブのつくリードが3点以内の場面で登板するシーンをよく目にします。クローザーを含め、救援投手、代打で起用される選手、守備固めで起用される選手は、みな途中出場する選手です。そのため、首脳陣はいつ起用するのかを試合展開を見ながら自由に決めることができます。

ここで、代打起用を例に考えてみます。とっておきの代打を送りたいタイミングというのは、「その試合の勝敗を分ける大事な場面」でしょう。いつでも起用できるという強みを生かし、大切な場面で起用することが、代打を起用するときのメジャーな戦略です。

一方でクローザーの起用はどうでしょうか。比較的準備に時間・コストがかかることを考慮したとしても、その起用の柔軟さ・的確さは、代打起用に比べて怪しいところが多いように思えます。9回を迎え、「3点リードの場面」では当たり前のようにクローザーが登板し、「1点ビハインドの場面」では当たり前のように他の救援投手が登板することがありますが、「3点リードの場面」よりも「1点ビハインドの場面」の方が大切な場面であるならば、その起用法は考え直す必要があるかもしれません。セーブが記録されるために、「3点リードの場面」でクローザーが登板することは一般的になっていますが、本当に追求すべきはチームの勝利です。本記事では、チームの勝利を最大化するために、クローザーがどのような場面で登板することがふさわしいのかを考えていきます。

 

調査方法

まず、野球の試合において、「大事な場面」を定義します。今回は、「プレーの前後における勝利確率の増加量」を場面の重要度を測定する指標として使用します。

次に、データの収集方法を考えます。今回は2つの方法で調査を行いたいと思います。

1つ目の方法では、現実の試合のデータを基に勝利確率を計算してくれるツールを使用します。

gregstoll.com

 

1つ目の方法の場合、既存の戦術の影響を受けてしまうこと (今回のケースだとこれがかなり致命的)、得点スケールがMLBのものであること等の欠点があるため、2つ目の方法として、自作のシミュレータを用いて勝利確率を計算する方法をとります。

hihrois-1104o.hatenablog.com

 

今回は、ツールを用いて計算orシミュレータを回すことで、「後攻チームが8回裏終了時点でn点リード(またはビハインド)のときに、9回表を無失点で抑えることによる勝利確率の増加量」を求めることで、各場面の重要度を定量的に評価します。

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2つの方法の簡単な比較

 

調査結果

計算結果をまとめたものが以下になります。まずツールを使用した結果です。

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9回表前後の勝利確率推移

 

次に、シミュレータを使用した結果です。

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9回表前後の勝利確率推移

 

 9回表を0に抑えることで、"より"勝利確率を上げることができる、「大事な場面」は、ツール、シミュレータにかかわらず、

1点リード > 同点 > 2点リード > 1点ビハインド > 3点リード

となることが分かりました。

 

考察・まとめ

今回の調査における「大事な場面」のオーダーが真であるとするならば、現在の一般的なクローザーの起用方法、セーブシチュエーションでクローザーを登板させる戦術は、おおむね妥当であるといえます。しかしながら、3点リードの場面よりも、1点ビハインドの場面の方が、わずかながらより勝利確率を上げる「大事な場面」といえそうなので、そこの起用法は改善の余地があるのかもしれません。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。ご意見をいただけると嬉しいです。

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