2割5分40本打線vs.3割3分5本打線
打率とホームランのバランス
ホームランを犠牲にしてでも打率を上げに行くのか、ある程度打率には目をつぶってホームランを狙いに行くのか。どちらの方が良いバッターなのかは様々な角度から議論できるため一概には言えませんが、今回はwOBAとシミュレータの2つの方法を使って、自分なりの結論を出してみたいと思います。
なお、今回は
野球のシミュレーションやデータ好きな方がいらっしゃれば、ぜひ「打率.250 40HR」打線VS「打率.330 5HR」でどちらがより強いか求めていただきたい笑 https://t.co/JQ122SxutW
— やきうのおじさん (@yakiunoojisan) February 17, 2019
こちらのツイートの数字をお借りして、打者A「打率.250 40HR」と、打者B「打率.330 5HR」を比較します。
ところで、打率と本塁打だけではwOBAやシミュレータでの検証を行うことが難しいため、他のボックススコア(n塁打、三振の数など)を推定する必要があります。
打者Bの成績は昨年の平田選手の成績に近いため、細かい数値の調整はありますが、ほとんどそのまま平田選手の成績を使用します。
打者Aについてですが、まず三振の数については、昨年の平田選手の三振/アウト≒2割ほどであることを利用します。四死球の数は平田選手のBB%をそのまま反映させます(バッティングタイプの変更における三振数や四死球数への影響は本来もう少し慎重になる必要があるとは思いますが、今回はこのくらいで許してください...)。
そして、総安打数における単打:長打の比率に関しては、打者Bに似た成績のソフトバンク松田選手の数値を使用します。
以上を踏まえた打者Aと打者Bの成績は次のようになりました。
観点① wOBA
wOBAは打者の総合的な打撃力を測ることができる指標です。それぞれの打者についてwOBAを求めると、((wOBA' = (0.7 × 四死球 + 0.9 × 単打 + 1.3 × 二塁打 + 1.7 × 三塁打 + 2.0 × 本塁打) / (打数 + 四死球)))
打者A .378
打者B .383
打者Bの方がwOBAが高い結果になりました。しかしながら、wOBAの重みづけや打者成績の推定などの曖昧さを加味すると、この数字にはほとんど差がないでしょう。ここでは、「AとBにはほとんど差がない(この検証で差を見つけ出すことはできなかった)」という結論を出しておきます。
観点② シミュレータ
次にシミュレータを用いて、打者Aを9人並べた打線と打者Bを9人並べた打線をシミュレーションし、得点分布をみていきます。なお、シミュレータの詳細はこちらをご覧ください。
それぞれの打線で10万試合を行い、その平均得点と標準偏差をまとめました。
この結果、打者B(3割3分5本)で組んだ打線の方が平均得点が大きくなりました。十分な試行数をこなしているので、「シミュレータ上では打者B打線の方が優秀」と言えるかと思います。
まとめ
wOBAでは小さな差でしたが、シミュレータではある程度はっきり平均得点に差が出る結果になりました。個人的には打者Aの方が優秀と予想していただけに、この結果は少し意外でした。
打者のタイプにおける三振数、四死球数、もっというと凡打の傾向(ゴロ、フライ)等まで考慮できるともう少し精度の高い結果が得られるかもしれません。
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