SB打線にバントは必要か
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SB打線でもやってみた
以前西武打線で行ったこちらの検証をソフトバンク打線に対しても同様に行っていきたいと思います。そのため、詳しい説明は割愛し、簡潔にまとめました。
詳しくは西武打線のときに書いた、「否定される送りバント」の章を読んでもらえればと思います。
ざっくりいうと、
ヒッティングの場合の得点期待値の変動と、送りバント(成功率は100%とする)時の得点期待値の変動を比較することで、本当に、完全に、「送りバントが得点期待値を上げる」場面がないのかを検証します。
検証開始
今回はソフトバンク打線2018を使って、この検証を行いました。今年のソフトバンクは投打ともに怪我人が多く、ベストメンバーといえるような布陣で戦う試合が非常に少なかったため、架空の打線を用意しました。
牧原、グラシアル、デスパイネ、今宮選手が同時に先発出場した試合は実は1試合もありません。
ありそうで1度もなかった打線です。
この打線でシミュレータを100万試合回した結果、平均得点が5.21点になりました。ソフトバンクの2018年シーズンの平均得点は4.8点程度なので、そこそこ誤差が出ました。言い訳としては、
- 理想的な布陣を仮定している
- 現実で、UBR(盗塁以外の走塁による得点貢献)がソフトバンクは12球団で最下位であったのに、シミュレータ上では平均的なUBRを想定している。
- 現実ではバントを多用している。
苦しいですが、このようなところでしょうか。
ここで、本来の趣旨とは逸れますが、シミュレータの結果から、何番から始まる攻撃で、何点取れるのかをまとめました。
牧原選手から始まる攻撃で最も得点が取れることが分かります。打線の軸となる柳田選手に打席が回るか回らないかで、得点期待値に差がついており、柳田選手から始まる攻撃と、デスパイネ 選手から始まる攻撃では、約0.1点もの差がついています。
これはこれで面白そうなので、今後他球団もやるかもしれないです。
本題に戻ります。
では次に、ヒッティングの場合の得点期待値の変動を求めていきます。具体的には以下のような手順を踏みます。
- 打撃イベントが起きる確率をシーズン成績から求める。
- アウトカウント、ランナー、イベントをもとにして、イベント後のアウトカウントとランナーがどのように遷移するのかを実際のNPBの試合から調べる(なお、野球シミュレータの開発で調査済み。2016~2017のNPB公式戦全試合対象)
- イベント前とイベント後の得点期待値の変化(差)を求める
- 全ての打順、アウトカウント、ランナー、イベントとそれによる状態遷移の組み合わせに対して、1~3を実行し、得点期待値の変動を求める
長々書いていますが、結局この値はどんな場合でも0になります。
最後に、送りバント(成功率は100%とする)時の得点期待値の変動を求めていきます。
こちらは先ほど求めた選手別得点期待値表を基にして、バント後の得点期待値からバント前の得点期待値を引けば求められます。なお、0,1アウトで、ランナー1 or 2 or 1・2塁の時に送りバントをすることにします。
結果
打順(9通り)×アウトカウント(2通り)×ランナー(3通り)の54パターン全てを調べましたが、今回もバント成功の方がヒッティングよりも得点期待値を上げるような状況は1つもありません。
どの球団でやっても同じような結果かもしれません。
ちなみに、バントによる得点期待値の減少が最も少なかったのは、0アウト1・2塁からの甲斐選手のバントでした。なおその場合でも、打った方がまだ良い結果が得られます。
あくまでシミュレータ上の話ですが、今回の条件下で、SB打線にとってバントは(1点でも多くとるという目的で)無意味な作戦ということが分かりました。
この打線でもやってほしい、みたいなのがあれば、教えてください。