BBANALY プロ野球データ分析

NPBのデータから、野球に関する議論や迷信を検証していくブログです。

『打率』で打者を評価すべきでない理由

圧倒的人気指標『打率』。でも...

 打率という指標は人気があります。打者を紹介する際に、真っ先に出るのは間違いなく打率です。中継のテロップや球場のビジョンでも同様に、打率が名前のすぐ横に表示されます。

 打率がよく使われているのは、おそらく「直感的でわかりやすい」からでしょう。ヒットを打つ確率が一目で分かるわけですから、最近野球を見始めた人や、あまり指標に興味のない人にとって、強力な観戦のお供になることは間違いありません。僕自身それは否定しませんし、打率が分かりやすくて有用な指標です。

 しかしながら、打者を評価するという視点に立った場合、打率はそこまで優れた指標ではありません(というより、他にもっと優れた指標があります)。「打率が高いほど、打者として優秀」は必ずしも成り立たないのです。今回はなぜ『打率』で打者を評価すべきでないのかを説明したいと思います。

 

『打率』をほかのスポーツに置き換えて考えてみる

 打率がなぜ打者の評価として優秀ではないのか*1を説明するために、他のスポーツに置き換えて考えてみたいと思います。

1.ボウリング

 ボウリングで例えるなら、打率は『ピンを1ピンでも倒す確率』です。ここで注意すべきは、「何ピン当たったのか」を考慮しない点です。ストライクであろうと、1ピンなんとか倒した場合であろうと、その2つは同等に評価されます。

2.ダーツ

 ダーツで例えるなら、打率は『ボードに刺さる確率』です。ここでも気を付けたいのは、「どこに刺さったのか」を考慮していない点です。20のトリプルでも2のシングルでも、その2つは同じ1ポイントとして評価されます。

『打率』を考える上で注意すること

 上の2つの例を読んでどう感じたでしょうか?「そんな指標いらねえ」と思った方が多いのではないでしょうか(上記の例は確率が1にかなり近いので、あまり的を射た例えとは言えませんが)。

 打率の最大の欠点は「単打も長打もみーーんな1ポイント」という点です。同じ打数で単打を100本打った人と、本塁打を90本打った人がいたら、単打を100本打った人の方が数字が大きく出るという点です。

 ボウリングだったら同じピンを倒すでも1本よりストライクの方が高く評価されるし、ダーツだったら2のシングルより20のトリプルの方が高く評価されますよね(ほとんどの場合で)。

 このため『打率』単体で打者を評価するのは非常に困難です。

まとめ

 『打率』という指標は直感的でわかりやすい指標であるものの、イベントに対してヒットかヒットではないかの区別しかつけないため、打者を評価するという視点(難しく言うと得点への貢献)からは、あまり有用とはいえません(=もっと有用な指標があります)。

*1:今回はこういう表現で書かせてもらいます。あくまで個人の意見です