BBANALY プロ野球データ分析

NPBのデータから、野球に関する議論や迷信を検証していくブログです。

CSのアドバンテージ1勝がもたらす価値

CSファイナルステージのアドバンテージ

 すっかりお馴染みになったCSファイナルステージで与えられる、1位チームへのアドバンテージ。具体的には、

  • ホーム開催
  • 1勝0敗からスタート
  • 勝ち星が並んだ場合は勝ち抜け

 ぱっと思いつくだけでも、これだけ挙げられます(詳しくはwikipedia)。

 その中でも今回は、1勝のアドバンテージに着目したいと思います。『1勝分のアドバンテージがあるから1位チーム圧倒的有利』とよく言われますが、具体的にはどれくらい、1勝分のアドバンテージが勝ち抜けの確率を上げているのでしょうか?検証していきます。

 なお、手っ取り早く結論だけ知りたい方は”まとめ”へ

勝ち抜け確率を求める

 今回は簡単のため、

  • 引き分けを考えない(必ず勝敗がつく)
  • お互いの勝率は5割
  • それぞれの試合は独立(他の試合の影響は受けない)

を前提にします。

 (この時点で高校数学の知識で簡単に解けてしまいますが...続けます)

 

 まず、1勝のアドバンテージがない場合の1位チーム勝ち抜けの確率ですが、完全に対等な勝負になるので、1 / 2 となります(4回先に勝った方を勝ちとするじゃんけんと同じ)。

 

 次に、1勝のアドバンテージがある場合の1位チーム勝ち抜け確率を求めます。

  1. 4勝0敗
  2. 4勝1敗
  3. 4勝2敗
  4. 4勝3敗

 勝ち抜けるパターンは上記の4通りです(アドバンテージ含)。それぞれ求めると、

  1. (1 / 2)^3 = 1 / 8
  2. 3C2 * (1 / 2)^2 * (1 / 2) * (1 / 2) = 3 / 16
  3. 4C2 * (1 / 2)^2 * (1 / 2)^2 * (1 / 2) = 3 / 16
  4. 5C2 * (1 / 2)^2 * (1 / 2)^3 * (1 / 2) = 5 / 32

 これらの和を計算すると、21 / 32 ≒ 0.656 = 65.6(%)となります。

 したがって、対等な場合の勝ち抜け確率である50(%)をここから引くと、65.6 - 50 = 15.6(%)という数字が出ます。この計算から、1勝分のアドバンテージは勝ち抜け確率を約15.6(%)上げる価値があるということが分かりました。

まとめ

 いくつかの前提はあるものの、1勝分のアドバンテージは1位チームの勝ち抜け確率を約15.6(%)上げる価値があるということが分かりました。この数字を大きいとみるか、小さいとみるかは人に依るかとは思いますが、ぜひこの数字を参考にしてみてください。