『大きな1点』は存在するのか
TV中継等で多用される『大きな1点』
TVでプロ野球中継等を見ていると、よく「この1点は大きいですね」とか「このランナーを返せば流れが変わりそうですね」などといったことを実況や解説が話しているのを聞くことがあると思います。
その中でも、僕が気になったのは2-1でリードしている終盤での追加点です。2-1から1点を追加し、3-1となったとき、『大きな1点』というフレーズをよく耳にしませんか?
後ろにいいピッチャーが控えていたり、ビハインドのチームが下位から始まる打順の巡りであったりといった、1試合単位での話では『大きな1点』というのは頷ける気がしますが、今回はマクロな視点からこの1点の価値を考えていきたいと思います。
過去の試合の統計をとることで、「終盤の追加点(1点差から2点差へ)は『大きな1点』なのか」を検証していきたいと思います。
点差、イニングと勝利確率の関係
具体的な検証方法として、
- NPB公式ホームページからデータを抽出
- 点差、イニングの状況別での勝利確率を計算
という方法をとりました。
データをまとめた結果、以上のようになりました。
横軸にイニング、縦軸に勝利確率をとり、同点から4点リード時までの5パターンをグラフ化しています。
例)7回裏終了時に2点をリードしている場合、勝利確率は約90%
なお、5点差以上のデータに関しては勝利確率の変動がほとんどなかったのと、対象となる試合の数がそこまで多くなかったため、割愛しています。
グラフを見てわかるように、勝利確率を最も上げるのは同点からの1点であることがわかります。それから続くようにして、1点差->2点差、2点差->3点差、...と、勝利確率の変動は小さくなっていきます。調べていてそりゃそうだろとは思いましたが、勝利確率という数字で表すことによって、その重みがより明確に分かるようになったのは大きな収穫です。
また、1点差->2点差とすることによって変動する勝利確率は終盤であればイニングによる差は小さく、約10~15%程であることが分かりました。
まとめ
終盤での1点の中で、最も勝利確率を上げることができるのは、同点からの1点であり、それから続くようにして1点差->2点差、2点差->3点差となるような1点であることが分かりました。
2-1から3-1にするような終盤の1点は勝利確率を約10%上げる1点です。自分で検証しておいてなんですが、これが『大きい1点』なのかは判断しかねますね...ここは個人の感覚に任せておきます。