BBANALY プロ野球データ分析

NPBのデータから、野球に関する議論や迷信を検証していくブログです。

3塁コーチャーはどれくらい自信があったら回すべきか

3塁コーチャーはどのように判断しているのか

 得点圏の場面、得点するために最も重要なのはもちろん打者の打撃結果ですが、打者が安打を放った際、塁上のランナーは3塁に留まるのか、それとも本塁に突入するのかという判断を迫られることになり、そこで適切な判断を下すことも、得点するためには重要な要素です。

 とはいっても、ランナー自身が判断を下すのは稀で、ほとんどの場合では3塁コーチャーが指示をランナーに送り、ランナーはそれに従うという形をとります。

 3塁コーチャーはこの状況で、ボールの位置、ランナーの走力やスタートの良し悪し、ボールを捕球する外野手の捕球体制、肩の強さなど、様々な情報から、ホーム突入すべきかを判断します。この際、どれほどの自信があればホーム突入という指示をランナーに送るべきなのでしょうか。今回は「何%ほどの自信(生還する確率)があれば、ホーム突入をするべきなのか」を検証していきます。

考え方

 セイバーメトリクスではお馴染みですが、今回はアウトカウント、ランナーの状況別得点期待値を用いて計算を行います。

  ランナー
out 1塁 2塁 1.3塁
0 .807 1.059 1.684
1 .478 .682 1.165
2 .204 .305 .495

2013~2015年 NPBの試合から求めた得点期待値 

https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53003より引用

 具体的な計算方法としては、

  1. ホーム突入した際のセーフになる確率をpとして、ホーム突入した際の(得点期待値変動の)期待値を計算
  2. 自重した場合の(得点期待値変動の)期待値を計算
  3. 1>2となるようなpを求める

 なお今回は、

  • 0アウト2塁、1アウト2塁、2アウト2塁から単打が出た場合を想定
  • ホーム突入した際も、自重した際も、打者走者は1塁に留まっておく

 この2つを前提にして計算を行います。

実際に計算した

1、0outランナー2塁の場合

  • a = 0outランナー2塁が持つ得点期待値 = 1.059
  • b = 自重(0outランナー1,3塁が持つ得点期待値) = 1.684
  • c = 突入成功(0outランナー1塁が持つ得点期待値 + 1) = 1.807
  • d = 突入失敗(1outランナー1塁が持つ得点期待値) = 0.478

したがって、突入した際の(得点期待値変動の)期待値は

 (c - a) * p + (d - a) * (1 - p)...①

で求められます。また、自重した場合の得点期待値変動は

 b - a...②

で求められます。①>②となるようなpの条件を求めればよいので、この不等式を解きます。解いた結果、

 p > 0.9074...

が導かれました。

2、1outランナー2塁の場合

同様に計算すると(記述はめんどくさいので割愛しました)、

 p > 0.7543...

が導かれました。

3、2outランナー2塁の場合

この場合も同様に計算して、

 p > 0.2691...

が導かれました。

まとめ

結果をまとめると以下のようになりました。

out 突入成功見込み(%)
0 90.74
1 75.43
2 26.91

 例えば、0アウトランナー2塁で単打が出た場合、「突入させたら90%以上の確率でセーフになるだろう」とコーチャーが判断すれば、コーチャーは腕を回すべきということです。

 逆に、「70%くらいでセーフになるかな」と判断すれば、コーチャーはランナーをストップさせるべきということになります。

 なお、この得点期待値はNPBの試合結果から得られたものであるため、高校野球や草野球では若干の誤差があるものと思われます。ですので、あくまで数字遊びの一つくらいの感覚で見るのがいいかと思われます。

 まあ3塁コーチャーしてたら確率を出せるほど冷静ではいられませんよね。